2015年11月27日 20:00
今年の邦画で1番? 橋口亮輔の7年ぶり新作「恋人たち」
橋口監督ってこれまでの作品もそうだったけど、人へのまなざしが細かくやさしいのね。『ハッシュ!』なんてすごくマジメなゲイ問題を扱いながらコミカルに描ききってるし、『ぐるりのこと。』だって超絶重い夫婦愛を社会的な事件とからめて、人間のありようってのを描くことに成功しているの。で、この作品も、不器用に生きる人たちをシリアスにもコミカルにも描出して、確実に身近にいる人たちや自分を重ねられるという仕掛け。コレよ、コレ。最近の邦画に足りなかったものってコレ!
派手さはゼロなんだけど、観ている人が「あるある」とじんわりやんわりと思うだけじゃなく、お悩み解決とまではいかないまでも「こういう人もいるんだ……」と共感と癒しを与えてくれるのよ。
あたしが個人的にキタのは、弁護士の四ノ宮。彼は仕事上はとってもデキる弁護士として辣腕をふるっているんだけど、じつはその裏は我欲のかたまり。
「自分が、自分が!」っていうタイプの男、いるでしょ?その典型なのね。ただ、賢いがゆえにそれを表には出さずに、近しい人にだけぶちまけるのよ。これがとてつもなく痛い。痛すぎる。というか、若い頃の自分を見ているようで、気恥ずかしいやら情けないやら。