2020年6月24日 19:00
想像を絶する金メダルへの戦い。華麗な新体操界の裏側に迫る
なぜなら、イリーナは私たちを一度も家に呼んでくれることはありませんでしたし、家族と一緒にいるところも見せてくれなかったからです。
ただ、私は最初の段階から人間の一面だけを映し出し、誇張するような映画にはしたくないと思っていました。つまり、彼女を悪魔のような真っ黒い性格の人間であるようには見せたくなかったのです。
映画のなかでリタがいい演技をして勝利を収めたときには、イリーナが彼女を優しく抱きしめている様子が映し出されていますが、そこで彼女の多面性を表すことができたと思っています。
―とはいえ、完成した映画を観たときのイリーナさんは、どのような反応でしたか?
監督最初は、彼女自身が選手たちをののしるような言葉を発していた場面で映像を止めさせ、過激な表現には、「ピー」の音をかぶせたらどうか、と提案してきたこともありました。
でも、観終わったときに彼女は「この映画は素晴らしい。ロシアでも上映会をしましょう」とまで言い出すほどでしたね。なぜなら、「これだけの成功を収めたんだから、これは私の指導方法が最良であることの証明になる映画だ」と彼女が感じたからだと思います。
上映中の彼女の様子を横で見ていたら、自分が厳しく指導している様子を見て、満足そうにうなずいていたほどですよ(笑)。