2020年7月4日 18:30
なぜ夏は“辛いもの”が食べたくなる? 中医学的“理想の一品”とは
夏の過酷な気候を乗り切るために、昔から唐辛子をたっぷり使った料理が欠かせなかったのです。日本、とりわけ都市部で同じように食べるのは、少々ゆきすぎ。辛は過剰になると体に熱をこもらせ、ほてりを生じたり、潤いを消耗して乾燥体質を招いてしまいます。五味は本来、バランスを考えながら摂ることが大切です。顔の上気がなかなかおさまらない、肌がかさつく…。辛いもの好きでそんな不調がある人は、頻繁に食べすぎていないか見直しを。
香辛料+補陰(ほいん)食材が。麻婆豆腐は理想の一品。
辛い料理を上手に楽しむには量の加減ともうひとつ、熱を冷ましつつ陰(いん)=潤いを補給する食材を組み合わせることがコツです。代表的なのがトマトや、きゅうりなどの瓜類。豆腐などの白いものにも、補陰効果があります。そう考えると四川料理の代表格である麻婆豆腐は、実は理想的な料理。唐辛子に豆腐を合わせているうえ、豚肉も陰を補う食材です。麻婆茄子に使われる茄子も、同じく体を冷まして潤いをもたらすので、おすすめです。水分を発散させる利点を生かしつつ、ブレーキをかけてくれる食材も上手に取り入れる。そんな食べ方が、夏の辛い料理のポイントです。
さくらい・だいすけ漢方専門家、国際中医専門員。