憂鬱な時期を、体質別養生で快適に。中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「不安感」です。
自然物の力で、ネガティブ感情を静めて。
ここ数か月、世界的に何かと心落ち着かない状況が続いていますね。不安で心が覆われる時間が長引き、気づかぬうちに心身のバランスを崩している人が少なくないようです。今回は、こうした場面で必要な養生について、お話ししたいと思います。
不安などのストレスを受け止めるのは、五臓のうちの肝の役割です。
肝は脾=胃腸を制御する働きも担っているのですが、肝にストレスがかかり続けるとこの制御機能が暴走し、脾を必要以上に押さえつけてしまう。結果、食べられない、消化がうまくいかないなどの胃腸機能障害が起こります。
脾は気(き)や血(けつ)など、体に不可欠なものを生み出す大事な工場です。そこが弱れば当然、体じゅうに影響が出てくる。気が足りないことはそのままエネルギーの枯渇を意味しますし、血不足は精神統括を司る「心(しん)」の活動を阻害するので、落ち着きがなくなるほか、集中力低下の原因にも。結果、不安がますます増幅し、それらがさらに肝を刺激して…という悪循環を生んでしまいます。