くらし情報『便を漏らすことの恐怖…難病「潰瘍性大腸炎」を患い知る“生きづらさ”』

2021年3月3日 18:40

便を漏らすことの恐怖…難病「潰瘍性大腸炎」を患い知る“生きづらさ”

たとえば、たった数メートルが間に合わず自宅のキッチンで漏らしてしまったことを書いた文章の見出しは「便の海に立つ」――。ご本人の目線で便の様子やにおいをクローズアップで描くと生々しくて悲惨さが際立つが、引いた視点で、足元にできた便たまりの中で呆然と立ち尽くす男の姿は、どこかおかしみのあるイメージになる。そんな表現の工夫が本書を一種のエンターテインメントに仕上げている。

闘病することで初めて体験した身体の知覚(絶食後の味覚、ひさしぶりのシャワーの触感、激やせ後の風圧…)、どんな行為よりも激しく忌避されがちな「便を漏らす」ことに対する考察など読みどころはたくさんあるが、特に印象的なのは「食とコミュニケーション」について。

病気で厳しい食事制限を余儀なくされた頭木さんだが、会合などの場で「食べられない」と断っても「ひとくちだけでも」と皿を勧めてくる人々は多く、世間の「共食=良いこと」という固定観念の強さに戸惑ったという。

「普通なら、勧められたものはちょっと食べたりはするじゃないですか。だからなかなか気づかないと思いますが、病気だとずっと断らざる得ない。それでもまだ勧めてくる人がいて、初めて、ここまで共食圧力は強いのか、ということがくっきり浮かび上がりました。

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