2021年3月27日 19:10
音楽プロデューサー・横山裕章 96歳の演奏に“色気”を感じた理由
どんな景色を感じながら生きてきたか、どんなことをイメージしながら弾いていたか。隠しても勝手にあふれ出るものが色気だと思います」
実際に、色気が音色に表れた瞬間を体感したことも、そうした答えを導く一因になっている。
「以前、インドのマニプールへ音楽収集をしに行った時に、二胡のような音を持つ伝統楽器であるPENAを弾く、96歳のオジャマンジという人に出会いました。自身の過去を話してくれた後に歌いながら演奏してくれたのですが、彼の声質と楽器の音色、シワシワの指で弾く姿などすべて含めて、彼の生きてきた世界が目の前にグッと表れた。その時の衝撃が今も色濃く残っています。また、一度、キーボード奏者としてお手伝いをしたシンガーソングライターの小坂忠さんは、普段は冗談ばかり言うおじさんなのに、パフォーマンスになると目つきも醸し出すオーラも変わり、後ろ姿がものすごく大きく感じました。小さく囁くような歌声には優しさがあり、大きくシャウトする声には包容力も。ライブ中だったのですが、これが色気なのかと思いました」
音楽プロデューサーとして、楽曲に色っぽさを求められた時、どのように表現するのかと尋ねると。
「たとえば伴奏で使われているシンセサイザーの音色、メロディを変えるだけで楽曲の聞こえ方が変わります。