2021年11月8日 22:10
斜線堂有紀の新本格ミステリー! 謎解きに没頭できる『廃遊園地の殺人』
昨年上梓した『楽園とは探偵の不在なり』(早川書房)が、年末恒例の各ベストミステリーランキングに次々とランクインした、注目度上昇中の斜線堂有紀さん。現実とは異なる法則がある「特殊設定ミステリー」を得意としてきた斜線堂さんだが、本書『廃遊園地の殺人』では、魅惑的なトリックを駆使した新本格ミステリーに挑戦している。
20年封印されていた遊園地を舞台に、難解な宝探しが始まる。一気読み!
事件が起きる舞台が、まずそそる。
「廃墟写真集などを眺めていても、錆びた観覧車や動かなくなったメリーゴーラウンドって、ぐっとくるんです。長年放置されてきた遊園地をクローズドサークルにすると決めたときに、不気味さを足したいな、何がいたら怖いかなと考えて、着ぐるみのうさぎを思いつきました」
カバー中央に描かれているのが〈イリュジオンランド〉のキャラクター、ギャニーちゃん。物語に漂う謎めいた雰囲気が伝わってくる。
富豪の十嶋庵(としま・いおり)に招待され、イリュジオンランドに集められたのは、廃墟マニアの小説家や廃墟好きのOL、廃墟雑誌の編集長など9人のゲストと、十嶋氏の代理人・佐義雨緋彩(さぎさめ・ひいろ)。