2021年11月8日 22:10
斜線堂有紀の新本格ミステリー! 謎解きに没頭できる『廃遊園地の殺人』
計10人。十嶋からの伝言は、〈このイリュジオンランドは、宝を見つけた者に譲る〉。この廃園の所有権をめぐって、関係者たちが宝探しを始めるのだが、なんと宝が何かさえわからないのだ。さらに、園内で殺人事件が発生。その真相を、廃墟マニアのコンビニ店員・眞上永太郎(まがみ・えいたろう)が突き止めていく。
「彼が事件を整理して問題点をメモする描写を入れているのですが、そうすると『ここまではわかった』と推理してくださる読者さんがいるみたいで。それはうれしいんです」
外界との接触が断たれた場所を舞台にする面白さはどこにあるのか。
「本当ならそれぞれの人生で関わらないような人たちも、こうした閉鎖状況下では関わらざるを得ない、自分のバックボーンを明かさざるを得ない。
否応なしに人間関係が発生するんです。そこが好きですね」
謎が解かれてみれば、意外なテーマを内包していたとわかって驚愕。
「簡単に善悪を判断できない、抗えない大きな流れって世の中にはあるなと。そんなことを意識しました」
だが、多くを語るまい。郷愁の余韻が残るラストまで、謎解きに没頭する快感をどうぞ。
斜線堂有紀『廃遊園地の殺人』2001年10月9日、天衝村(あまつきむら)