くらし情報『木野花「のちの演劇人生に大きく影響することに…」 不条理だった幼少期の体験』

2022年2月6日 17:30

木野花「のちの演劇人生に大きく影響することに…」 不条理だった幼少期の体験

母の実家は下北半島の真ん中にある海と山に囲まれた小さな村で、遊び場は大自然。町からやってきた私にはその自然が物珍しく、少しの時間を見つけては木に登ったり海に潜って貝をとったり、絵に描いたように野原を駆けまわったりしていました。

あるとき長いこと雲を眺めていたらふわ~っと体が浮いて!!もちろん本当に浮くわけはないんですが(笑)。意識が身体から流れて軽くなるような浮遊感があって、自然に身を委ねることで身体も意識も解放されるという不思議な体験をよくしていました。辛い日々の束の間の現実逃避だったかもしれません。

大人になって演劇の道に入ったとき、私は「解放」と「集中」「感受性」という言葉に出合います。今はもう、どんなに雲を眺めてもあの浮遊感は戻りませんが、自然の中で体験した感覚は、身体に記憶に刻まれている気がします。それと知らずに貴重な体験をしていたことを、今となっては母に感謝ですね。


きの・はな俳優、演出家。1948年生まれ、青森県出身。2/18~3/6にKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて、舞台『ラビット・ホール』に出演。3月には兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでも公演が。

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