2022年3月5日 17:10
日本ブライダルの第一人者・桂由美「今はデザイナーですが、お裁縫が大の苦手」
押し入れで寝ていれば空襲が避けられた?!
小学校から中学校にかけての時期に、太平洋戦争が起こりました。夜、空襲警報が鳴るとみんな防空壕に逃げるんですが、私は寝ているところを起こされるのがイヤで、「押し入れで寝るから起こさないで」と言って、母親を困らせていました。いつも渋々防空壕に入ったことを覚えています。
1945年の3月10日、今でいう江東区や墨田区、台東区、中央区を襲った下町大空襲がありました。翌日、学徒動員で通っていた工場に行く途中に見た街の景色は、今でも忘れられません。そこかしこにマネキンがあるように見えたのは遺体で、大きな馬の死体を見たのもとても怖かった。その年の8月15日に戦争が終わるわけですが、そのあとも食料不足、教科書がなくて勉強ができなかったりと、大変な時期がしばらく続きました。どんな道を歩んでも私はブライダルデザイナーになったと思いますが、あの戦争がなかったら、道筋や速度は違っただろう、と思います。
かつら・ゆみブライダルデザイナー。1965年の創業以来、パリコレを含む世界30以上の都市でショーを開催。今年4月には日本のウェディングドレスの変遷を展示するミュージアム『YUMI KATSURA MUSEUM WAKASA』を福井県にオープン。
※『anan』2022年3月9日号より。写真・中島慶子
(by anan編集部)
キダ・タローさん死去、関西だけでなく「東京育ち」からも追悼続々 円広志「お世話になりました」