2022年8月2日 20:00
凸凹コンビが事件を解決!? 日本文化の再発見ができるミステリー『ナゾトキ・ジパング』
「この最初の話で、短編で取り上げる題材と結びつく海外の名文などをエピグラフとして提示するという形式にしてしまったので、それを探すのが結構ハードルが高いぞと(笑)、あとから気づきました」
収録されているどの短編も、密室やアリバイ等、いくつもの謎とトリックが絡み合って二転三転。そんな本格ミステリーの流儀を踏襲しつつ、文体はポップで軽妙、日本人でも膝を打つような日本文化の再発見ができるのも魅力だ。
「コロナ禍に連載していたため、取材などはなかなか進まなかったのですが、第3話に出てくる茶道は、浅草で体験してきました。茶室のにじり口ってトリックに使えるかなあと考えておいたことを確認できたり、それまでぼんやりとした知識しかなかった掛け軸のことや茶道具の棗のことなど、体験したからこそ参考になることも多かったです」
事件が解決しても、手放しで喜べない切なさが残る作品が多いのは、青柳さんのミステリーの特徴だが、本作でもその味わいはたっぷり。『ナゾトキ・ジパング』2度目の大学3年生というトホホな長瀬秀次とニッポンが大好きなアメリカ人留学生のケビン・マクリーガルが、コンビで事件の謎に挑む5編。小学館1650円
あおやぎ・あいと1980年、千葉県生まれ。