2022年9月18日 22:00
松井玲奈「顔より内面をちゃんと見てもらえたら嬉しい」 中島歩と『よだかの片想い』を語る
でも、わからないままやってみたら、自然と表に出てくる感情があったんですよね。
中島:僕も一切の可能性を切り捨てないように、何も決めずに演じますね。その役が抱く感情は、俳優が意識的に表現するというよりは、お客さんが感じ取るものだと思うし、その場で複合的に、有機的に立ち上がってくるものなので。セリフで書いてあっても、実際どういう言い方で言うのか、それを聞いてどういう気持ちになるかは、その場でしかわかりえないというか。僕は演技をすることで、知らなかった自分が見えてくると思っていて。え、これ言われて俺涙出ちゃうんだとか、こんな怒ってるんだとか(笑)。
松井:たぶん、私はまだ自分のことがそんなにわかってないのかも。自分の中の譲れないものがあるようで、実はすごく自分に無関心なのではとも最近思っていて(笑)。
だから、ある意味、自分に大事な責任を託してもらえる、役を演じてお芝居をすることに、存在意義や楽しさを感じているんだと思います。
中島:僕、最後のシーンのアイコの表情を見て、あ、この表情を見るためにこの映画を観ていたんだと気づいて。人の本当の顔、心を許し合ってるからこそ出る言葉、表情。そういうのも見つけると、美しいなと感じたりしますけど、この作品って、画一的な美の残酷さを見せているとも思うんです。