2022年10月2日 20:00
なにげない日常を三十一文字でポップに表現! “現代短歌”の楽しみ方
P.25/筑摩書房2019年
王子Aは王子Bを激しくすきでBはAをしみじみすきみたい
雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』P.118/書肆侃侃房2018年
そもそも現代短歌とは?変遷から見えてくる魅力
現代短歌といっても幅広いが、一般的には「『サラダ記念日』が生まれた’80年代後半以降」と捉えてよさそう。まずは、エポックメイキングとなった2首について。
「この時期に一番大きく変化したのは、読みやすさ。なにげない日常をポップに表現した俵万智さんや、穂村弘さんが描く都会的な情景は、広く共感されました」
続く3首からもわかるように、これ以降、今につながる現代短歌の展開はさらに多様に広がっていく。
「すべて文語ではなく口語なのが特徴で、なかでも口語にこだわったのが枡野浩一さん。口語は語彙などの問題で硬い印象になりがちなのですが、口語でもやわらかい表現の短歌を作ったのが東直子さん。また、雪舟えまさんは、自身の小説と登場人物がリンクしている男性同士の恋を詠み、新しい楽しみ方を開拓しました」
こうした流れを踏まえると、いま活躍する若い世代の短歌も、また違った魅力が見えてくるはず。