2022年10月17日 20:00
松井玲奈「一種のメディテーションみたいなものかも」 ひとりごはんの醍醐味とは?
「単純に、私が食べものが出てくるお話が好きというのもありますが、作家さんによって食事のシーンて全然書き方が違いますよね。マンガ家さんでも、お茶碗によそわれたご飯を、細かく米粒を立たせるように描く人もいれば、全体の形をていねいに描く人もいて。著者の食べものに対する価値観みたいなものが伝わってくるところが面白い。だから私も、自然と作品の中に織り込みたくなるのかもしれないです」
「ハンドメイド」(『カモフラージュ』に所収)という短編では、24歳の女性が、手作りのお弁当を、ひと回り年上の不倫相手とホテルで食べる。
「女性は、空のお弁当箱を家に帰って洗うんですよね。虚しいなと思いながら書いた場面。食を、人物像や関係性、心情などを描くのに効果的に使えたらいいなと思っています」
いままた少しずつ新しい小説を書き溜めているところらしい。
「その中でも、たとえば、紅茶をティーバッグで淹れる人なのか、茶葉をポットに入れて時間まで計って淹れる人なのかで、その人物の性格や暮らしぶりなどが見えてきたりしますよね。
今回は“自分を発見する”をテーマにしようかなと思っていて、そこでも食をうまく使いたいです」