2022年10月25日 19:00
不気味な熱を感じて! 岡本太郎の生涯に迫る、過去最大規模の展覧会が開催
芸術とは生活の中にあり、金持ちやエリートのものでなく、民衆のもの、社会のものだと考える太郎は、絵画を売らない生涯を貫いた。
「今日の芸術は、うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」という彼の名言通り、作品から感じられるのは不気味な熱。すべてを生命体として描いた彼の表現は、猛烈なその生き様をも伝えてくれるはずだ。
芸術家・岡本太郎の誕生
19歳の冬に家族とヨーロッパに渡った太郎は、ピカソの作品に衝撃を受け、前衛芸術家や思想家たちと深く交わり、自身も最先端の芸術運動に邁進するようになる。パリ大学では民族学を学び、自身の土台となる思想を深めていった。
岡本太郎《傷ましき腕》1936/49年川崎市岡本太郎美術館蔵
力を入れた前衛美術芸術運動
日本美術界の変革を目指し、太郎は「夜の会」を結成。また抽象と具象など対立要素が生み出す「対極主義」を掲げ前衛運動を開始する。さらに著書『今日の芸術』がベストセラーとなり文化人としても注目される。左・岡本太郎《森の掟》1950年川崎市岡本太郎美術館蔵
右・岡本太郎《夜》1947年川崎市岡本太郎美術館蔵
魅了されてきた呪術的な世界観
前衛芸術を推す一方、日本文化にも目を向けた太郎。