母の死を機に、険悪だった姉妹の奇妙な同居生活が始まり…『けむたい姉とずるい妹』
褒められたことではないけれど、なかには『人間なら、理性だけではどうにもならない感情もあるのでは』という疑問も湧いてきて。そこで、不倫要素も足しました。正しさだけが正解ではないし、正しいことしか描かないマンガを描きたいわけでもない。むしろ、人間だから絶対に間違うけれど、大切なのは間違ったあとでどうやり直していくかだと思っているんです。間違うからこそ人間は面白いんじゃないかなと」
3巻では、急接近していくじゅんと律の関係の変化や、らんが自分の知らなかった本心に気づく瞬間などが描かれる。
「描き進めるにつれて実感しているのが、じゅん、らん、律それぞれに私と似たところがあるなということ。無意識に、私自身の性格や心情を一部投影しているみたいですね」
そして、予測不能のストーリーを盛り上げるのが、ばったんさんのしっとりしたタッチだ。リボンや煙などたゆたうモノが印象的に使われていて、うっとりしてしまう。
それ以上に惹きつけられるのは、感情豊かなキャラクターたちの表情だ。「私、女性がにっこりしているのより、泣いたり怒ったり感情を爆発させている表情が好きなんですね。そういう顔を描きたくて、波乱を起こしているのかもしれません(笑)」