差別に抗う4人の危うい計画とは? デビュー作にして芥川賞候補作!
デビュー作がいきなり芥川賞候補となり、大注目の安堂ホセさん。『ジャクソンひとり』は、彼にとってまだ2作目の小説作品だという。
「2020年頃、自分の中にある話をどういう形で表現しようかと考えた時、小説にしようと思ったんです」
その際執筆した作品は文藝賞の最終選考まで残った。翌年再び応募し、見事受賞を果たしたのが本作だ。
「前作は一人称で思い入れを書きすぎたので、もうちょっと自分と距離を置いた、三人称の軽い小説にしようと考えました」
主人公はブラックミックスで、ゲイとの噂があるジャクソン。スポーツブランド専用ジムの整体師だ。会社で偶然、彼の服にプリントされたQRコードが読み取られたところ、現れた動画はブラックミックスの男のあられもない姿。ジャクソンが否定しても社内の人々はその男が彼だと信じて疑わない。
これは誰かによるリベンジポルノなのか――。
「性暴力を扱う時、リアルさが欠けていたほうが読み手もダメージを受けないと思って。それで本人も自分なのか分からない状況にしました」
整体師という設定も絶妙だ。
「男性がリベンジポルノを受けた時、被害者なのに警戒されて疎外されることがある。