『元彼の遺言状』著者・新川帆立「会社に行かなくていい幸せを手放したくない (笑) 」
著名なミステリー文学賞に応募して大賞を受賞。『元彼の遺言状』は刊行されるや否やベストセラーに。その後も、新刊を出すたびに話題となり、いまもっとも目が離せない作家のひとりです。デビューしてまだ3年目に入ったばかりのフレッシュなキャリアと、存在感の大きさのギャップに瞠目。2年間の生活の変化や、今後の抱負など、快進撃を続ける新川帆立さんの現在の心境はいかに。
――単行本デビューしてすぐに退職されたそうですね。思い切った決断ですよね。
新川帆立(以下、新川):実はデビューする前からそう決めていました。
2020年に受賞が決まり、退職は単行本が出た’21年の1月末ですね。辞めた翌朝、「きょうからはもう会社に行かなくていいんだ!」とすごい幸せな気持ちになって、この幸せを手放したくないと(笑)。たまたまデビュー作が売れましたが、売れる売れないにかかわらず、最初の3年くらいは執筆に全集中しないと作家として生き残れないかもしれないと必死だったので、むしろ兼業は考えませんでした。
――作家という仕事についてなんとなくのイメージがあったと思いますが、いまのような劇的な変化を迎えてみていかがですか。
新川:想像していた世界と大きな違いはなかったですね。