『元彼の遺言状』著者・新川帆立「会社に行かなくていい幸せを手放したくない (笑) 」
と自分でも信じられるような人物だけを書いているつもりなんです。たとえば、一緒にドラッグストアに行ったら、あのキャラクターなら「この化粧品を買いそうだな」とか「絶対にドラッグストアコスメを使わなそう」とか。Netflixでは何を見るか、どんなファッションが好きか。いちいち作中では書きませんけれど、自分の中ではそれが何となくわかるくらいの距離感で捉えているんです。実際、そのくらいしっくりきたキャラクターでないと続きを書けない。ミステリーは謎が大事で人物は人形的、記号的でもいいという読者さんもいるでしょうが、私はどうにか人間味も足して両立させたいと思っているんです。
――最新刊には、リーガルSFと銘打ったユニークな6編が収録されています。令和が〈礼和〉や〈零和〉などになって、それぞれ動物に人間と同じ権利を認める〈動物福祉法〉や、現金を廃止する〈電子通貨法〉など架空の法律がある社会が舞台。
スラップスティック的だったり、痛快だったり、ブラックだったり、読後感もバラエティがありますね。
新川:『令和その他の~』に収録した「接待麻雀士」という短編を書いたときに、その架空法律の部分が面白いと編集さんが言ってくださったんですね。