『元彼の遺言状』著者・新川帆立「会社に行かなくていい幸せを手放したくない (笑) 」
――そういう意味で、新川さんの書く作品って社会派でもあるのかなと思ったりします。
新川:やはり切実なテーマじゃないと、読者も時間を割いてまで読みたいと思わないんじゃないかなーと。なので、自分にとっても切実で、世の中の人もきっと切実に悩んでいるだろうという状況や心理を書いていこうとは思っています。たださすがに社会派と言われたことはないですね。強いて言えば人間派ということで(笑)。
デビューからわずか2年で短編集や長編など8作品を出版。アニマルライツ、メタバース、バーチャルリアリティ、安楽死問題、キャッシュレス社会など、イマドキの話題を織り込んだ『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』(集英社)は、興味深い短編揃い。連載していた離婚弁護士ものを、春ごろに刊行予定。
しんかわ・ほたて1991年、アメリカ合衆国テキサス州ダラス生まれ、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒、同法科大学院修了後に弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に受賞作『元彼の遺言状』でデビュー。同シリーズほか、「競争の番人」シリーズ、『先祖探偵』など著書多数。現在、イギリス在住。