『別れる決心』パク・チャヌク監督「普段から翻訳という行為にとても関心がある」
「ソレは韓国語をある程度話せますが、今話したいことがあまりにも多く、一刻も早くその内容を正確に伝えたいから、いきなり通訳アプリを使って中国語で捲し立てる。ヘジュンにとっても観客にとっても、その姿はもどかしそうに韓国語を話していたこれまでの彼女とは全く違うと感じるはずです。雰囲気がガラッと変わり、興奮しながらも堂々と威厳のある話し方をするソレが何の話をしているのか、すごく気になりますよね。でもアプリが通訳するのを待つしかない。それで待っていると、いざ届く情報はあくまで感情のない声なんです。へジュンと共に観客は、ソレの表情、眼差し、声のトーン、イントネーションの記憶を呼び覚まし、言葉を完成させなくてはいけない。そのシーンが、未知の者同士が出会い、交流を深めていくというコミュニケーションにおいて、究極の動機になると思いました」
これまではタブーとバイオレンスを臆さず描写してきたパク監督。本作ではそれらを封印し、本心をストレートに言えないという事情を抱える大人のための恋愛を描いたそう。
「単純に、同じことを繰り返すことが嫌いなんです。映画作りというのは、1~2年、長くなれば3年ほどを費やすこともあるので、言ってみれば、自分の人生をまるごと捧げて作っているともいえるわけです。