『別れる決心』パク・チャヌク監督「普段から翻訳という行為にとても関心がある」
それが退屈な作業となると、本当に辛い、苦痛なものになってしまう。だからこそ、ひとつ成功しても、その成功に決して安住したくないという性格なんだと思います」
パク監督自身も、大人であることは、不自由さを抱えて生きていくことと捉えているのだろうか。
「仕方なくでも我慢すべき時に我慢ができる、それが大人であると私は考えます。社会という共同体の中で生活するとなると、否応なしに自然と周りの人と合わせていかなくてはいけない。それは、現代の文明社会を生きる上で支払わなければいけない対価だと思います。ただ我慢が限界まで達してしまうと、心の病になってしまうケースもありますよね」
表現活動においても、禁止されたルールを受け入れるしかない状況は歳を重ねるほど増えていくという。
「だからこそ、私たちには芸術が必要なんじゃないかと。いかなる非難があったとしても、自分が表現したいことを表現しようとする芸術家はいつの時代にも必ずいますし、タブーとされるような芸術を愉しむ人たちも必ずいると私は思うんですね。
例えば、日本にはいろんな漫画があって、極端ともいえる表現に決してためらわずに挑んでいる作品もありますよね。世界中にある恐怖を煽るようなホラー映画もそうかもしれない。