甲斐翔真×古屋敬多「『RENT』って、やっている僕らも毎回感動しながらやってるんです」
きっとこの最悪の人生を自分なりに清算する何か…今生きていることに納得できる何かが欲しくて、それが彼には曲だったのかなって。それが作れたら、この人生がプラスにはならなくとも、プラマイゼロにはできるかもしれない。ロジャーにとって今重要なのは曲を作って栄光を手にすることで、誰かとの会話も新しい女性も、ましてや新しい世界なんて必要ないと思っているのかなと考えています。今のところは。
古屋:ロジャー自身はどん底にいて心を閉ざしているけれど、人の生きようとする力ってとてつもないものがあると思うんですよ。追い込まれているからこそ湧き上がってくるエネルギーみたいなものがあって、それが彼にまたギターを手に取らせてくれたのかなって。
甲斐:あと、当時はまだエイズが不治の病とされていたと思うと、自分の余命も考えていただろうからね。薬はあるけれど、まだ周りでどんどん仲間が死んでいってるわけで。
古屋:うん。いつ終わりがくるかわからない中での、切迫した感じとかをリアルに演じていきたいですね。
甲斐:だからミミが現れる場面とか、ロジャーからしたら、せっかくいいメロディが思いつきそうなのに邪魔するなよって気持ちなのかなって。