くらし情報『観察眼と情熱に感嘆!? 精緻な“版画”の世界に導く展覧会が開催』

観察眼と情熱に感嘆!? 精緻な“版画”の世界に導く展覧会が開催

精緻な線で描かれた植物の断面、写実的なのはもちろん、羽毛まで丹念に描かれた鳥の姿。一見、「絵」に見えるのに実は「版画」と聞いて驚く人も多いかもしれない。

自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート

展示は17世紀から19世紀にかけて西洋で発行された植物誌や博物誌の挿絵が中心。今でいう図鑑の図版にあたるもので、木版画や銅版画、リトグラフ(石版画)などの技法が用いられている。町田市立国際版画美術館・学芸員の藤村拓也さんは言う。

「版画は美術であり、技術でもあります。現在ではアートの分野に括られていますが、絵を写し印刷する複製技術としての役割も担ってきました。写真が発明される以前、何世紀にもわたり、視覚的なコミュニケーションができるメディアとして情報のやりとりを支えてきたのです」

版画による印刷物は、聖書や宗教的な寓意を含む物語などが主流の時代から、大航海時代に入ると珍しい動植物や地形を描いたものへ力点が移っていく。
顕微鏡が発明されると、肉眼では捉えられなかった世界が観察の対象に。マクロからミクロまで、貪欲な探究心はどこから?

「キリスト教圏の西洋社会では、自然物は神に創られたものであるという考え方が支配的でした。

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