村田沙耶香や川上未映子も。日本人女性作家が英語圏で爆発的人気を獲得する理由とは
主人公・伊藤花の庇護者的存在の黄美子を交えたいびつな共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かうが…。2090円(中央公論新社)
これまで海外で評価され、読まれてきたのは大江健三郎さんや村上春樹さんらレジェンド的な作家と一部の男性作家が主だった。しかし近年は村田沙耶香さんが火付け役となり、川上未映子さん、柳美里さん、松田青子さん、小川洋子さんら、女性作家の海外人気がうなぎ上り。
「日本特有の受動的な女性像や社会の閉塞感などが、ある種の新鮮さとして海外で受け入れられている。対談でも出ていた、設定や視点にひねりがあるなかに自分と直結するものを見つける方が普遍的なテーマやメッセージ性が刺さる…という流れにもつながります。僕らが海外文学を読む理由のひとつも、そこにありますよね」(吉田さん)
家族、フェミニズム…注目テーマの斬新な切り口。
支え合う人々の希望と再生の物語。
『水車小屋のネネ』津村記久子
身勝手な母とその恋人から離れ、姉妹で生きることに決めた18歳の理佐と10歳の律。
生活の場としてたどり着いた山あいの町でしゃべる鳥「ネネ」と出会い…。背伸びしない善意がゆるやかに循環するなかで生きる姉妹の40年の軌跡を描く。