「まるでSFみたい」来日したフランスの名優が好きな日本の場所とモノは?
という話をすると、観客のみなさんは病気の役を難しいと思うかもしれません。でも、普通の役も同じくらい難しいものなので、正直に言うと私にとってはいつもと変わりませんでした。今回は、監督のお父さんが実際に病気だったときの様子を収めたテープも聞かせてもらったので、そういったところから役作りの着想を得ています。
―メルヴィルさんが演じたクレマンは、迷いや悩みを抱えている人物なので繊細な表現が求められる役どころでしたが、監督は「的を得た演技をしていて理想的な俳優だと心から思った」と話されています。演じるうえで、意識されたことはありましたか?
メルヴィルさんこの作品は、監督自身が経験した人生の一部を描いていることもあって、彼女の頭のなかで厳密に出来上がっているのを感じました。実際、セリフの言い方ひとつにしても、細かいこだわりがあったほどですから。なので、今回は私が勝手に想像して演じるのではなく、彼女が描いているものに忠実に演じようと考えました。彼女自身にもこの役と同じような恋人がいるのですが、その人が私と似ているようなので、そんなところからもアプローチをしています。
クレマンという人物は、サンドラにとっては希望や愛の喜びを再認識させてくれる救済者であり、“白馬に乗った王子様”みたいな男性。