くらし情報『川上佐都『街に躍ねる』が描く温かな兄弟愛 “普通”の呪縛を解いていく物語』

2023年6月12日 22:00

川上佐都『街に躍ねる』が描く温かな兄弟愛 “普通”の呪縛を解いていく物語

小学5年生の晶(あき)は、物知りで絵が上手な高校生の兄・達(とおる)が大好きだ。しかし、不登校で家にいることの多い達は、晶のクラスメイトの権(ごん)ちゃんからは〈大変だよね〉などと同情されてしまうし、〈衝動的に、必要以上に〉動いて音を立ててしまうので大家さんからはお目玉を食らう。兄をめぐる軋轢と受容を、晶の真っすぐな視点で描き出したのが、川上佐都さんの『街に躍(は)ねる』だ。

温かな兄弟愛や人との信頼を通して、普通という呪縛を解いていく感動作。
川上佐都『街に躍ねる』が描く温かな兄弟愛 “普通”の呪縛を解いていく物語


「私の周りでも、知識が豊富で、ぼそっとつぶやいたアイデアがすごく面白かったりする人が、何人かいたんですね。でも、闊達に人とコミュニケーションしたり、人前でプレゼンしたりするのは苦手そうで、世間のもの差しではかってしまうと理解されにくい。それこそ達のような人を語り手にしてしまうと、『これが苦しい、あれが苦しい』のお話になりかねないなと思ったんです。そうしないために、別視点を用意して、彼をカッコ良く書いてみたいという気持ちがありました」

晶は、取り立てて頭がいいキャラではなく、ただ明るくて純粋な子として描かれる。


「自分の家で起きていることが“普通”だから、よその家と比べて普通じゃないと言われたら、戸惑ったり反発したりするわけですよね」

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