奥深い“羊毛フェルト”の世界へ…引きこもり大学生×少女のヒューマンコメディ
羊毛フェルトで亡きペットと再会!引きこもり大学生×少女の成長譚『針と羊の舟』について、著者の幌琴似さんにお話を聞きました。
「マンガのネタが思い浮かばず落ち込んでいたとき、本屋さんでリアルな兎の作り方を紹介した羊毛フェルトの本を見つけました。私は10年ほど前に兎を飼っていたのですが、ちょうど命日が近く、また会いたいなあと思ったんです」
羊毛を特殊な針で刺して固めることで成形する羊毛フェルト。著者の幌琴似さんの願望は、本作で羊毛フェルトを始める花原に投影されている。花原は愛兎・ジュラを亡くしペットロスに陥り、東京の大学にも馴染めずにいる引きこもりの男子学生。師匠と仰ぐ小学生の弥生と公民館で落ち合い、手芸にいそしんでいる。
「男の人が手芸をやっていたらかわいいなと思ったのと、小さい子のほうが引っ張っているような関係性が好きなので、この組み合わせになりました。私も一通りの手芸をしてきましたが、無心で手を動かすのはセラピー効果があるんですよね。
羊毛フェルトで死んだペットを再現したいという目標を持つことと、黙々と作業することで、2重に癒される過程を描ければと思いました」
といっても、本作に漂う雰囲気は基本的にコミカル。