八嶋智人、舞台『桜の園』は「登場人物の中でちゃんとしている人って僕だけですからね」
『桜の園』は、多額の負債を抱えながらも現実を受け止められずにいる領主一家を中心に、過去の栄光にすがり時代の変化から取り残された人々と、時代に即し生き方を順応させていく人々との悲喜こもごもを描いた、ロシアの作家・チェーホフの名作。八嶋智人さんが今作で演じるのは、かつて“桜の園”に仕えた農民の息子で、自らの才覚で実業家として成功したロパーヒン。
言葉は通じるけれど話が通じない会話はまさにコントです(笑)。
「ディスコミュニケーションの話だと思うんですよ。言葉は通じるけれど話が通じない人たちの会話が、ずっと続く(笑)。登場人物の中でちゃんとしている人って僕だけですからね。僕は正論しか言ってないのに、みんな否定ばかりで、全然聞いてくれずに孤独です。しかも、ラネーフスカヤ役の原田美枝子さんを筆頭に、聞かない側の説得力が高いもんだから、さらにイライラが募る。
その原田さんがチャーミングだから、余計に手に負えない。何も物事を知らない、ワガママでとんでもない女主人なのに、僕を含めみんなが彼女に夢中ですからね(笑)」
演出は、昨年の『セールスマンの死』で高い評価を受けたショーン・ホームズさん。八嶋さんはその舞台を観劇して感銘を受けていたそう。