『サンクチュアリ -聖域-』主演・一ノ瀬ワタル「カメラは俺の目で、音声さんは俺の耳で…監督は俺の心でした」
一ノ瀬さんと作品との出合いは2019年までさかのぼる。同じ格闘家で、同じ九州生まれで、一見コワモテだけど純粋で。自分と重なる猿桜に、特別な縁を感じた。
「オーディション後、自分の気持ちを伝えたくて、江口カン監督を呼び止めたんです。『いま俺、“猿桜”にビシビシ感じてるものがあります!』って。普段はそんなこと言わないけどあのときばかりは言わずにはいられなくて。でも選ばれてからは、しんどいことだらけ(笑)。撮影に入る前から相撲の稽古を積んで、役作りもめちゃくちゃしたっすね。
監督と毎日連絡を取って、歩き方、目を開ける幅など細かな部分を調整していくなかで、猿桜という存在が俺の中に芽生えてきました」
作中で人々の度肝を抜いたのが力士、部屋、土俵…相撲にまつわる描写のリアルさ。一ノ瀬さんも本物と同じく神事を行い土俵開きをした部屋で、時間をかけて稽古を重ねて力士の体を作っていった。
「撮影に入るずっと前から、そして撮影が始まってからも猿将部屋で稽古を続けていました。そのうち俺は一ノ瀬ワタルなのか、猿桜なのか?自分と役の垣根がなくなってきて…そういう感覚は初めてでした。そうなれたのは猿将部屋の人たちのおかげ。