皆川猿時「今52歳なんですけど、この何年かでシリアスな役をやることへの照れが、少しなくなってきた」
松尾さんは僕なんかには想像もつかない明確なビジョンがあって、笑いに関しても迷いがない気がします。笑いと気持ち悪さが隣り合わせというか、演じる上では、ある程度の生っぽさが必要な感じがします。
――以前は、登場の仕方から面白いコメディリリーフ的なポジションが多かったですが、近年はドラマでもシリアスな役どころを演じることも増えています。
今52歳なんですけど、この何年かでシリアスな役をやることへの照れが、少しなくなってきました。自分としては、コミカルな方が気持ち的に楽なんですが、いろんな作品に関わったおかげで、シリアスなものにも面白い要素がいっぱいあることに気づいたんです。すごく遅いんですけど。
――もともと面白いことがやりたくて、大人計画に?
もともとお客さんとして大人計画を観ていたんです。今ほどお笑いが盛り上がってなくて、小劇場の勢いがすごかった時期だったと思います。
そんな中で松尾さんの作品は、尖ってて面白くてカッコよくて、いっぱい笑いました。
――松尾さんの描くような笑いがお好きだったんですか?
僕は福島県いわき市出身で、テレビの笑いしか知らなかったんです。それまで見てきたドリフとかひょうきん族とはまったく違う種類の笑いを松尾さんがやっていて、カルチャーショックを受けました。