「きっといる」と思わせてくれる怪しさと魅力アリ! 怪異を巡る、二人の男の見聞録
「描きたい物語があるからネタを探すというより、“気になることノート”が発端になることが多いですね。たとえば母から聞いた思い出話や、街中で見つけた変な風景、お風呂に入っていて唐突に浮かんだ単語などをメモしておくんです。それ自体は全然怖くなかったりするのですが、違和感や妙なギャップのある、座りが悪い事象をホラーの土俵に持っていく作業をしている感じです」
彼らは遭遇した怪異をドラマティックに祓ったりはしない。常識的にはあり得ない体験をしながらも、現実の隣に存在する世界だと認識して、また日常に戻る。その描き方に好感が持てるし、「きっといる」と思わせてくれる怪しさと魅力がある。
「いかにもモンスターっぽい佇まいだと、インパクトがあっても隣にいそうにないので、いつもそのせめぎ合いに苦戦してます。イメージは、街の角を曲がったらいそうな存在。ホラーや怪談といっても本当にさまざまですし、怪異が出てこなくても怖いこともたくさんある。
そこに可能性があると思っているので、いろんな波で描けたらいいですね」
『となりの百怪見聞録(ひゃっかいけんぶんろく)』2怪異に好かれる男・片桐甚八と、好事家の原田織座。