羊文学・塩塚モエカ「野良犬からちゃんと人間になっていかなくちゃ」 心情の変化を語る
って吐き出すような、外に吐き出すパワーが強かったんですけど、今回は、思ったことを自分の中で温めて、考えて、ちょっと認めてあげていこうっていう、内側に向かっていく強い力を覚えたんです。それが、自分をハグしているみたいだなって感じたんです。自分をハグするって意味に繋がる言葉を探していたら、両手を胸の前でクロスして手のひらを左右の肩に置くことを、バタフライハグって言うらしくて、自分をハグして安心させる効果がある心理療法だと知ったんです。私は普段から、無意識に自分の腕とか肘とかを抱きしめる癖があるので、自分が普段からやっていたことと繋がったことに驚いたんですが、まさにこのアルバムの中に詰め込んだ想いにぴったりだなと思って、アルバムタイトルにしたんです。
――不思議なリンクでしたね。
塩塚:そうなんです。自分でもどうして私はいつもこのポーズをしちゃうんだろ?って思ってたんですけど、無意識に自分を安心させるためだったんだなって気づいて、ちょっと腑に落ちたんです。
私も野良犬からちゃんと人間になっていかなくちゃ。
――全曲の歌詞において、弱さの中にも、内側に向いた強さを感じたんですが、前作から今作に至るまでの中で、心情の変化や楽曲制作面での変化はありましたか?
塩塚:23歳で大学を出て、4年くらいミュージシャンとしてやってみて、わかってきたことも増えてきたし、学生時代にライブハウスでライブをしてた頃とは変化してきた感覚はあって。