羊文学・塩塚モエカ「野良犬からちゃんと人間になっていかなくちゃ」 心情の変化を語る
対バン相手に対して絶対に負けない!って闘志を燃やしていた野良育ちからスタートしたので、いろんな人たちと関わってお仕事として音楽をやっていくという現実は180度違うものだったんです。音楽を作って人前でライブをすること自体は同じなんだけど、まわりがどんどん変化していく中で、私も野良犬からちゃんと人間になっていかなくちゃいけないんだって思うようになったんです。昨年リリースしたアルバム『our hope』がちょっとポップな仕上がりだったので、今回は音楽的にももうちょっといろんなことにトライしたいという方向性で作り始めて。完成したのを振り返ってみると、これまでとはまた違う作品になりました。
――なるほど。
塩塚:さかのぼると、私が10代のときに人生で初めて作った曲は学校に行きたくないって曲だったんです(笑)。それを「魔法」っていうタイトルで書いて、アイツがムカつくんだよ!っていう曲には「春」ってタイトルを付けたんです。19歳頃に書いた曲たちは、ムカつくとか自分は何が正しいと思うってことばかりを書いてたんですよね。
でも、「春」を最初にEPでリリースしたとき(2017年リリース『トンネルを抜けたら』)