羊文学・塩塚モエカ「野良犬からちゃんと人間になっていかなくちゃ」 心情の変化を語る
塩塚:ありがとうございます!(自分専用のタンブラーを見せて)これ。今も白湯を飲んでます(笑)。
――今作はやっと自分の心としっかり対峙できた感じなんですね。
塩塚:はい。今まで自分がやってきたこととか、自分の思っている世界が、ちょっとどこかズレている感じがあったんですけど、今回のアルバムは自分と一致してると感じるんです。私、自分のこと、何もない人間だって思っているんですよ。趣味も特にないし。このフォントは嫌だ!とか、仕事上の小さなこだわりはあるんですけど、私生活の中でのこだわりは特になくて。
テレビもついてたら見るし、音楽もかかっていたら聴くし、みたいな感じなんです。だけど、お腹の奥の方に、ブレないキラキラみたいなものを自分は持ってると思っていて。このアルバムも深いところでじんわり広がって安心できる感じに出来上がったなって思ったんです。言葉もいろんな気持ちもたくさん詰まっているんだけど、今までみたいに人に押し付けようというテンションではなく、表面的な強さが大きく広がっていく感じではないけど、聴いてるとお腹の中が温まるような感じで。でも、一曲一曲は重すぎずわりと短くてサラッとしていて、すごくいいバランスになったなって。