尚玄「撮影中はハプニングしかなかった」リム・カーワイ新作の裏側を語る
―最初から3部作にしようと考えていたのか、それともコロナ禍を経験したことによって生まれたものですか?
監督バルカン半島の景色や歴史に興味を持っていたこともあり、1作目を撮り終えたときから3部作にしようという構想はありました。そこで最後は、総括の意味も込めて前の2作品を撮ったアジア人の映画監督という設定が面白いかなと思いついたのです。
そんなときにコロナ禍になり、ウクライナとロシアで戦争が起きたので、世界が“世紀末”のようだと感じたことも。アーティストとしてこういう状況をどうとらえるのかについていろいろと考えたこともあって、主人公にはそのあたりの思いを投影しています。
現地の建造物に影響を受けてアイデアが生まれた
―本作に脚本はなく、撮影も行き当たりばったりだったとか。
尚玄さんリムとはすでに2本一緒に仕事をしていて、撮影方法は理解していたので、今回も“いつものスタイル”なんだろうなと思っていました。以前は、沖縄から北海道まで移動しながら即興劇で撮影していましたからね。
そういうプロセスを知っているという意味ではあまり不安はありませんでしたが、自分としては飛び込むような気持ちでセルビアに乗り込みました。