尚玄「撮影中はハプニングしかなかった」リム・カーワイ新作の裏側を語る
最初に言われていたのは、映画監督の役で、イタリアの(ピエル・パオロ・)パゾリーニ監督のイメージということくらいだったと思います。
監督尚玄さんは見た目がパゾリーニ監督に似ているので、彼のような気難しい映画監督がこういう時代をどう思うかという話にしたいと考えました。でも、撮っているうちに、どんどん変わってきてしまったんですよね…。
―それは現地に着いてから、ストーリーに影響を与えるような出来事があったということでしょうか。
監督そうですね。なかでも大きな影響を受けたのは、「スポメニック」と呼ばれる旧ユーゴスラビアの巨大建造物。ここには戦争や虐殺の犠牲者たちのために作られたモニュメントがありますが、いまの時代にも通じるものがあると感じたので、そこでアイデアが生まれました。
それは尚玄さんが日本を出発する3日前のことでしたが、その時点では「映画監督が宇宙人の基地を探しに行く物語のなかで、姿を消した彼のあとを女優が追う」という構想しかなかったと思います。
さまざまな現場を経験して、適応能力は高くなった
―その話を聞いたときの印象は?
尚玄さん「何を言ってるんだろう」と思いましたよ(笑)。