ヒコロヒー「普遍性があるものはやっぱり面白い」 初の恋愛小説を書いた背景を明かす
「テーマがあることによって書くことに枠ができますが、私はむしろ、“何を主題にしてもいいですよ”と言われたら、自由すぎて書けなかったかもしれません」
与えられたテーマは“恋愛”。ヒコロヒーさんは恋愛を、「普遍的なものであり、だからこそモチーフとして面白い」と言います。
「いわゆる恋愛の〈惚れた腫れた〉は、なんだかんだとほとんどの人が通るもの。普遍性があるものはやっぱり面白いと思いますし、だからこそ恋愛は、落語や漫才、コントなど、お笑いの世界のあらゆるところで話のモチーフになっているんだと思います」
この一冊に収録されているのは、出てくる人たちも、シチュエーションもすべて異なる18の恋物語。テンポの良い会話と絶妙な角度からの描写で展開するストーリーは、恋を知る人の心の琴線を密かに震わせ、気がつけば、かつて胸のどこかに染み込んだ“あの感情”が浮かび上がり、“この恋、私にも心当たりが…”と思わされる。そんな魅力的な一冊です。「モデルがいる、ということはないですが、友達の恋愛話からちょこちょこいろんな要素はもらったかもしれません。恋愛話を聞くときって、“で、どうなったん?”って、次の展開を考えながら聞くんですが、私が想像しなかった展開になることが多いんですよ。