片桐はいり「台本の長ゼリフの塊を見ただけでお断りしたこともあった」 心境の変化を語る
登場人物は7歳の自閉症の少女。幼いながらにガンに侵され、死を意識しながらさまざまなことに想いをめぐらせる。舞台『スプーンフェイス・スタインバーグ』は、そんな“スプーンフェイス”と名付けられた少女の独白からなる一人芝居。それを片桐はいりさんが演じると聞けば、反射的に「観てみたい!」となる人は多いはず。しかし当の片桐さんときたら、「セリフを言うってことに興味がないので、本当に私、これやるんですかねって感じです」と、冒頭から思いもよらない発言が。
「長ゼリフも死ぬ役も嫌なんですけれど、やってるうちに楽しくなってきました」
「デビューしたのが劇団だったんですけれど、当時、あまりにも滑舌が悪いし、声は小さいし…。だから、言葉はしゃべるけれどひと言も理解できないっていう設定の役をやっていたくらい。そんな出自だから、ずっとセリフを言うってことがちゃんとわからないし、ありえないって思っていたタイプなんです」
そのせいか、近年はフィジカルを主軸とした舞台に多く出演していた片桐さん。
しかしコロナ禍のなか出演した舞台で「ちょっとセリフを言うのが楽しいかもと思えた」のだそう。「その流れがなかったら、台本を読む前に断っていたと思う」