くらし情報『構想・執筆に10年かけた恩田陸によるバレエ小説『spring』 架空の演目は「私の妄想です (笑) 」』

構想・執筆に10年かけた恩田陸によるバレエ小説『spring』 架空の演目は「私の妄想です (笑) 」

「自分が書いた登場人物にはあまり執着しないほうなんですが、今回は連載が終わるのが寂しくて。書いているうちに私も萬春(よろず・はる)のファンになっていたんだと思います」と、恩田陸さん。萬春とは新作『spring』の主人公、天才ダンサー&振付家の青年だ。

天才的な舞踊家にして振付家の青年。彼の舞台で魅了させるバレエ小説。
構想・執筆に10年かけた恩田陸によるバレエ小説『spring』 架空の演目は「私の妄想です (笑) 」


これまでも演劇やピアノコンクールなど、言語化が難しい題材を小説にしてきた恩田さん。

「そこからさらにハードルを上げるなら踊りかな、と思っていた時に編集者からバレエ小説を提案されたんです。すぐ書けるわけではないので、連載を始めるまでに結構時間がかかりました」

構想・執筆にかけた月日は実に10年。
その間ひたすらバレエを観て、どうやって言語化するかを考えた。

8歳でバレエに出合い、踊りと振付の才能を開花させていく萬春。4部構成の本作は、3章までが春に関わる人物の視点で、さまざまな時期の彼の姿が描かれる。

「踊りって、同じ振付でも踊る人によって醸し出される雰囲気が全然違う。不思議ですよね」

春の踊りを再現する描写が美しい。作中では極力バレエ用語を使わないよう配慮。バレエを知らない読者でも脳裏に舞台が浮かぶはずだ。

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