「事態はあらゆるレベルで悪化している」フランスの気鋭監督が映し出したパリの知られざる真実
そういったこともあって、改善どころかなるべく人々に見せたくないというような圧力に近い動きを感じました。とはいえ、これはもはや隠し切れないほど大きな問題になっています。実際、フランスでは500万人ほどの人が劣悪な住環境に暮らしているような状況ですから…。
そんななか、貧困地区を再開発し、中流階級の人たちを呼び込んで街のイメージを刷新させようとする動きが出てきています。ただ、そうすると結局そこに暮らしていた人たちが排除されてしまうため、新たな問題が起きるのではないかなと。特にいまは世界的スポーツイベントを控えているので、政府としてはあまりこの問題にフォーカスされたくないという意図があるのだと思います。
―つまり、盛り上がりを見せるいっぽうで、貧困地域との差がより大きくなってきているということでしょうか。
監督それは間違いなくありますね。
大規模な再開発計画が進められたので、それに伴って貧しい人たちを排除するような動きがありました。事態はあらゆるレベルで悪化していると言わざるを得ません。
扱っている題材は、自分自身が経験してきたこと
―この状況を改善するためには、どういった取り組みが必要だとお考えですか?
監督現状については確認していますが、正直なところ僕もどうしたらいいかわからなくなっています。