「事態はあらゆるレベルで悪化している」フランスの気鋭監督が映し出したパリの知られざる真実
ただ、わかっているのは、いまの政府はまったくいいところがないので、フランスは壊滅的な状態にあるということです。―だからこそ、映画を通して状況を伝えていくのがご自身のすべきことだと考えていらっしゃるのですね。
監督まさにその通りです。次回作でもこれまで語ってきたように90年代に起きた問題について主に取り上げていく予定ですが、これからもこの路線で自分の使命をまっとうしたいと思っています。
―では、ストーリーを構築するうえで苦労したことがあれば、お聞かせください。
監督シナリオを完成させるまでに3年ほどかかっていますが、「それぞれのアイデアをどのように組み合わせていけば整合性が取れるのか」といった部分が一番難しかったですね。住宅に関する問題を抱えている人や排除されてしまった人など、いろんな方に直接話を聞きにいっては頭を悩ませました。
―監督といえば、リアリティのある映像を得意とされていると思いますが、撮影時に意識していることについて教えてください。
監督そもそも扱っている内容は、僕自身が経験してきたことでもあるので、どうすれば映像に現実味を出せるかというのが身に染みてわかっているのは大きいですね。