「事態はあらゆるレベルで悪化している」フランスの気鋭監督が映し出したパリの知られざる真実
だからこそ、現場に行くだけでリアルなシーンを撮ることができるんだと思います。
「戦い続けていく女性を描きたい」という思いがあった
―本作には俳優以外にも現地の方も出演しているのでしょうか。
監督エキストラの8割は、実際の住人たちに演じてもらっています。「出たい!」とみんなが言っていたので、希望者が多すぎてむしろ大変なくらいでした。
―俳優ではない方たちには演技指導をされたのか、逆に普段のままでいてほしいと伝えたのか、どのような演出をされましたか?
監督僕の場合は、どうしてほしいかというのを事前にきちんと伝えるようにしています。なので、「自由にやっていいよ」という感じよりも、わりとしっかりと演技指導をさせてもらいました。
―フランスの観客は衝撃を受けていたとのことですが、当事者の方たちの反応はどのようなものだったのでしょうか。
監督映画で語られているのが自分自身の物語ということもあって、非常に喜んでくれました。
彼らにとっては、撮影に参加したことも誇らしい経験となってくれたようで僕もうれしいです。
―また、本作では女性のキャラクターが印象的に描かれています。女性を描くうえで意識されたこともありましたか?
監督主人公であるアビーのように、市民のための援助活動を熱心に行っている力強い女性というのは、実際の貧困地区にもたくさんいます。