井浦新「心の画角が広角になっていくのを感じました」 『東京カウボーイ』でアメリカ映画デビュー
温かな再生の物語である本作には「派手なカーアクションもCGもない」。しかし、舞台のモンタナの自然はため息が出るほど広大で美しい。
「車で何時間走ってもロッキー山脈が続いて頭がバグりました(笑)。見慣れてくると話すペースも景色を見つめる眼差しも変わり、心の画角が広角になっていくのを感じました」
慣れない英語のセリフには、発音で苦心したよう。
「セリフに牧場を表す“ranch”が何度も出てくるんですが、『昼ごはん(lunch)じゃないよ』ってよく言われました(笑)。ただ、ヒデキは英語が得意なわけではないから、英語と日本語を交ぜて話してみたら監督が面白がってくれて。でも、流暢に話せなくてもいいというのは、自分自身への言い訳でもあったなと。これはあくまでアメリカ映画。
英語で伝わらなければダメなんだと考えを改めました」
もともとは海外作品に積極的に出たいわけではなかったという井浦さんが、参加を決めた理由は。
「日本で出合った作品で、その瞬間ごと自分の最高を更新していけるように役に向き合っていると、海外の映画祭に立ち会えるというご褒美のようなことがたまに起こるんです。映画は国や言葉の違いを超え、どこまでも飛んでいけることを実感してきましたし、この作品に関しても、僕の出演作を見てくれていた監督やプロデューサーとのご縁でした。