井浦新「心の画角が広角になっていくのを感じました」 『東京カウボーイ』でアメリカ映画デビュー
最初の話し合いでは『新の芝居を見ているとそこにいた人にしか見えなくなる』とまで言ってもらえて。僕は、俳優としての生みの親である是枝裕和監督からは『表面的な芝居なんかしなくていい』、育ての親である若松孝二監督からは『下手な芝居をするくらいならお前の心を見せてくれ』と、演出スタイルの異なる監督から同じようなことを言われてきました。自分の礎となった演技スタイルが通じず苦々しい想いをしたこともあるから芝居が上手くなりたい気持ちが、なりたくない気持ちと同じようにあるといった話をしました」
アメリカ映画の現場で受けた刺激を日本で活かしたいとも話す。
「英語圏の俳優さんは、その場で積極的に意見を出します。気持ちが乗らない自分自身に対して怒り始めることも。すると、そのシーンが成立するにはどうすればいいか、全員がおのずと考えるんです。これまでの僕はそういう姿を見せないようにしてきたけど、感じたまま伝えることは何もマイナスじゃない。先輩後輩関係なく、相手への敬意や感動も、その場で感じたことを率先して伝えられる俳優になりたいです」
映画『東京カウボーイ』勤務する商社が所有する牧場を立て直すために、ヒデキは畜産業の専門家のワダ(國村隼)