温かい物語かと思いきや不穏な空気に…寝たきりの女性と高校生の交流を描いた『二人目の私が夜歩く』
「人って、この人は善人で、この人は悪人だなんてくくれないものなので、自分の作品ではあまりステレオタイプの善人や悪人は描きたくないというのがあります。人間って、もっと奥深いものではないかと、書けば書くほど感じますね」
すべてが明かされた時こみあげてくるのは、切なさとやるせなさと、温かさ。一連の出来事の全貌を知ることができるのは、読者だけだ。
辻堂ゆめ『二人目の私が夜歩く』交通事故で寝たきりとなった女性・咲子と交流を深める高校生の茜は、就寝中のはずの深夜、自分が外を出歩いていると気づくが…。中央公論新社1870円
つじどう・ゆめ2014年、大学在学中に『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞、翌年受賞作を『いなくなった私へ』として刊行しデビュー。’22年、『トリカゴ』で大藪春彦賞を受賞。
※『anan』2024年6月19日号より。写真・土佐麻理子(辻堂さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
(by anan編集部)
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