人権重視の欧州で「AI規制法」が成立、グローバルスタンダードになる可能性も
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「AI規制法」です。
人権重視の欧州がいち早く規制へ。日本も対応必至。
EUでは、包括的にAIを規制する法案が5月21日に成立。2026年に本格的に適用されることになりました。生成AIの普及が急速に進むなか、間違った情報やフェイクニュースが拡散されたり、人権侵害などのリスクが高まっていることに危機感を抱き、世界で初めてとなる規制法を作成しました。AIの安全性を確保する努力をすること、AIを暴走させないための枠組みが作られたのです。
今後、AI技術を持てる国かどうかにより、大きな格差が生じてしまいます。この法律では、EU内で格差が生じないよう配慮する項目も盛り込まれています。
AI規制法は、AI開発事業者だけでなく、サービスを提供する事業者も規制の対象となります。ただし、軍事目的で開発されたもの、国際協定の枠内でEUとの司法協力などのために使うもの、サービス開始前の研究などに関しては、対象外と定めました。
この法に違反した場合は、最大で3500万ユーロ(約60億円)、または前年度の全世界年間売上高の7%のいずれか高い方を制裁金としてEUに納めなければなりません。