少女たちに夢を、女性たちに人生の道標を。中原淳一、生誕111周年記念展覧会が開催
戦前から戦後にかけ、イラストレーター、雑誌の編集者、ファッション&インテリアのデザイナー、スタイリスト、人形作家など幅広く活躍したマルチクリエイター中原淳一。戦前に雑誌の表紙画家としてデビュー。終戦より始めた雑誌制作の仕事は、敗戦のショックに打ちのめされていた当時の少女たちに夢を与え、女性たちから圧倒的な支持を得た。そんな中原の生誕111周年を記念する本展「111年目の中原淳一展」は、雑誌編集の仕事を軸に、彼の幅広いクリエイションの全貌をかつてない規模で紹介する。
真の美しさ、豊かさを追求し続けた中原の生涯に迫る。
中原は早くに父を失い、母と2人の姉に囲まれて育った。小学校卒業と同時に上京した彼はおかっぱ頭の内気な少年で、姉たちと一緒に西洋人形を作ることが大好きだった。日本美術学校で西洋美術を学び、昭和7年には銀座松屋にてフランス人形の個展を開催。
これを機に雑誌『少女の友』の専属画家として同年6月号でデビュー。表紙や挿絵を手がけるうちに次第に編集にも携わっていった。しかし日中戦争が激化すると、中原の描く女性画はハイカラだ、華奢で不健康だと軍部から睨まれ、昭和15年には専属画家を降板させられてしまう。