“子どもの性被害”を防止する法案が成立。しかし再犯防止には課題も?
拘禁刑終了後20年、執行猶予の場合は判決から10年、罰金刑は10年照会可能になります。
ただ、加害者を排除して終わりでよいのだろうかという論点もあります。性犯罪を繰り返してしまう人は性依存という、意思ではコントロールできない病気の可能性もあるんですね。アメリカでは13歳未満の子どもに対して性加害を犯した受刑者には、仮出所の前に男性ホルモンを抑制する化学的去勢が、テキサス州やカリフォルニア州ほか複数の州で導入されています。海外では、こうした薬物療法や認知行動療法を用いることが再犯防止に効果的といわれています。
日本版DBSの導入は大きな一歩かもしれませんが、その範囲はまだ限定的で検討の余地がありそうです。また、性加害者が働く場所を失い、孤立し、生活が成り立たなくなれば、別の犯罪に手を染める恐れもあります。子どもの性犯罪に限りませんが、犯罪者を排除したり厳罰化するだけでなく、加害者をケアする公的な枠組みを検討するというのも、本当の意味で再犯を防ぐためにはとても大事なことではないかなと思います。
ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。