マンガ家・瀧波ユカリ「とてもエンパワーされた」 影響を受けた“女バディ”コミック
例えば、既婚・子持ちの女性二人が、なにかと戦う、あるいはなにかから逃げる場合、ついつい“え、子供はどうした?!”とか、“明日のごはんの準備は?!”とかがちらついてしまうかもしれないし、なによりその“ケアをし合わない自立した女性”の姿を見て、私たちは心をざわつかせずにいられるだろうか、とも思うんです。そういった女性の姿は、今の日本の女性たちにとって遠い存在なのではないかと…」
しかし、その刷り込まれたジェンダーを意識せずに見られる設定がある。それは、二人が最初から悪い人であるという設定。
「正直なところ、現実の女性は肉体的にも社会的にも力を持つことができていないので、その縛りを外さないと私が思うバディものは難しいと思うんです。じゃあどんな設定なら、ジェンダーや力が持てないという現実を超えられるか。私が大好きなバディ作品に、高口里純先生の『ロンタイBABY』というマンガがあるのですが、これは超武闘派のチャコと、姉が暴走族の初代総長という筋金入りのヤンキーであるマコ、そんな2人の不良少女の青春物語。二人は思春期の高校生で、まだ“女はケアをするべき”というジェンダーが板につく前の存在なんです。